防衛省は、5月に愛知県犬山市で墜落した航空自衛隊のT4練習機について、近く飛行を再開させる方向で調整を始めた。事故原因はまだ不明だが、T4はパイロットの育成や技量維持など幅広く用いられており、飛行停止をこれ以上長引かせるのは防衛力への影響が大きいと判断したとみられる。複数の防衛省関係者への取材でわかった。
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T4は5月14日午後3時ごろ、小牧基地(愛知県)を離陸した約2分後、北東約13キロにある入鹿(いるか)池に墜落。搭乗者2人が死亡した。
空自は事故後、保有する約200機のT4の飛行を停止し、緊急点検を実施していた。これにより安全性を確認したとして、今月9日以降に全国の空自基地がある自治体に説明を始める。理解を得られたところから順次、飛行を再開する。
一方、事故現場ではエンジンなど機体主要部の池からの引き揚げが難航。事故機には飛行状態を記録するフライトデータレコーダーも搭載されておらず、原因究明には時間がかかる見通し。